知ってる?世界を変えた“クロアチアの”偉大な発明家
ニコラ・テスラ
最後にお伝えするのは、クロアチア人が「エジソンをはるか超える偉大な発明家」と尊敬して止まない天才科学者ニコラ・テスラ(Nikola Tesla)。現代の私たちの豊かな暮らしを支える交流発電機はテスラが発明しました。
「エジソンのライバル」とも呼ばれたテスラ。彼はエジソンが発明した「直流式発電機」よりもずっと実用的で電送に優れた「交流式発電機」を発明しました。それにより、遠い地域にまで電気を送ることが可能となり、その後の産業の発展と生活の向上に大きく貢献したのです。
話が長くなってしまうので、ここではあまり詳しくお伝えすることができませんが、テスラは若かりし頃、エジソンの下で働いていた時期がありました。
ある日「(エジソンが設計した直流用の)工場のシステムをひとつでも交流電流で動かすことがでるのであれば、褒賞として5万ドル(約1億円くらいの価値)を 払おう」とテスラに言い放ったエジソン。エジソンは「そんなこと、できっこない」と高を括っていのでしょうですが、天才テスラは見事にそれをやってのけたのです!
その後テスラが褒賞のことをエジソンに尋ねると、「テスラ、あれはアメリカンジョークだ」と言って、あっさりと約束を破ったのだとか・・・。それまでエジソンのことを慕い尊敬していたテスラですが、裏切られたことに激怒した彼はエジソンの元を去ります。
その後、交流電源の他、無線やリモコン、ラジオ、テスラコイル、モーターなど数々の多くの発明を行い、約300件もの特許を取得したテスラ。エジソンと肩を並べるくらい、いや、それ以上に偉大な科学者であったことには間違いありません。
それなのに、エジソンにばかり光が当たり、あまりその名が世に知れ渡ることがなかったテスラ・・・。その理由はエジソンはマスコミの使い方が大変上手だったからだ と言われています。その華麗なまでな手腕は科学者というよりも「やり手の実業家」。マスコミの影響力を理解し上手に使ったという点では、エジソンはテスラよりも優れていたようですね。
「わたしは発明を続ける金を手に入れるために、いつも発明する」と言うエジソンに対し「本当に人々の暮らしを豊かにするための発明をしたい」と考え友愛精神に溢れていたテスラ。
そんな偉大な科学者テスラに、彼の死後徐々に光が当たるようになりました。ちなみに、アメリカの有名な電気自動車会社Tesla Motors(テスラ・モーターズ)の社名はニコラ・テスラに由来するものだそうです。
日本では“偉大な発明家”として慕われるエジソンですが、このような理由からクロアチア、そしてセルビアには「エジソンなんて大っ嫌い…!」という人がとても多いのです。これからもっともっと、偉大な科学者、ニコラ・テスラの名を知る人が増えてほしいな・・・と筆者も思っています。

クロアチア・スミリャン村にあるテスラの生家と銅像
ちなみにクロアチア人が尊敬して止まないニコラ・テスラですが、彼はクロアチア生まれのセルビア人(両親がセルビア人)。テスラが生まれたのはクロアチアの”スミリャン”という小さな村でした。
テスラが生まれた1856年当時、村は「クロアチア」でも「セルビア」のものではなくオーストリア帝国の支配下にありました(かなりざっくりとしたまとめ方になりますが・・・その後、クロアチアは「ユーゴスラビア」の一部となり、1991年に現在の「クロアチア」となります)。
現在クロアチアでは「テスラはクロアチアの偉大な科学者」、セルビアでは「テスラはセルビアの偉大な科学者」と称されていますが、多くのクロアチア人は「テスラはの民族的ルーツは確かにセルビア。“クロアチア(人)の科学者”っていうのはちょっと無理があるかもしれないっていうのはわかっている。でもそんなの関係ない。僕たちはテスラのことをとても誇りに思っているんだ。彼は僕たちが誇る、偉大な科学者なんだ!」と口を揃えます。
現在セルビアの首都ベオグラードの空港は「ニコラ・テスラ空港」と名付けられ、セルビアの通貨である100ディナール札にはテスラの肖像画が描かれ、学校や通りの名前までにもその名が多く使われ、人々に愛されています。
同じようにクロアチアでも、首都のザグレブにはテスラの巨大な銅像があり、「ニコラ・テスラ通り」と呼ばれる、ザグレブっ子でいつも賑わう通りが存在します。クロアチア、セルビアへお越しの際は、そんな偉大なニコラ・テスラに想いを馳せながら街歩きしてみてくださいね。
以上いかがでしたか?
複雑なヨーロッパやバルカン半島の歴史が垣間見れるクロアチアの”発明家事情”。クロアチアの人々が「クロアチア人が発明したもの」と主張するものの中には、客観的に見ると「クロアチア人が発明した!」とは言い切れないものがリストアップされているのも事実。
ですが、自分たちの土地やクロアチアという国に人一倍誇りを持っているということ、そして「クロアチアは小さな国だけど、世界に誇るべき素晴らしい国なんだ!」という熱い気持ちがひしひしと伝わってくるような気がします。
(小坂井真美)