先日から当ブログで何度かお伝えしていますが、2020年3月9日からクロアチアでは「日本を含む一部の国・地域からクロアチアへ入国する全てのクロアチア人及び外
当局の措置による混乱の中、ある日本人男性がクロアチア=ハンガリーの国境でトラブルに遭われました。
当サイトをご覧くださっていたその男性が、有難いことに詳細をメールでお知らせくださったので、今後みなさんが同じようなケースに遭って混乱されないためにもシェアさせていただきます。
日本人男性から届いたメール
まず、日本人男性がお寄せくださった2通のメッセージをそのまま紹介させていただきます(ご本人の許可をいただいております)。
(※このメールは2020年3月11日の夜に頂戴しました)
お世話になっております。コロナウイルスの渡航制限について、自分の体験した現状の国境での入国管理について、ご報告させていただきます。小坂井様の業務の一助になれば幸いです。
本日、フリックスバスでブダペストからザグレブへの移動途中、国境のパスポートコントロールでは、日本から直接では無いけれども、14日以内(私の場合は2日前)に渡航歴があるということで、引き返すか、€2000を支払ってそのまま旅行を続けるかの選択が求められました。
私の場合、€2000が払えなかったので戻ることにすると、Letenyeという国境付近の街でバスを降りることとなりました。幸い同乗のクロアチア人の方がいろいろ助けてくれて、降りるまでに宿を決め、その宿の前まで送るよう運転手に交渉してくれました。このような状況になってしまったので、私は明日か明後日に、飛行機が取れ次第ブダペストから帰国することにしました。
タイミングも悪かったとはいえ、状況判断が甘かったと反省していますが、懲りずに今度こそクロアチアに行きたいと思います。その際はぜひガイドの方、お願いできればと思いますので、よろしくお願いします。
国境のパスポートコントロールで2000ユーロ(!!)を要求されたとのこと。
もう少しだけ詳しく状況を把握するために「お金を要求してきたのはクロアチア側(クロアチア入国時、クロアチアの入国審査官)でしょうか?また2000ユーロはどういう名目での料金だと説明してきましたか?」とお伺いしたところ、次のようなお返事をいただきました。
(※このメールは2020年3月12日の朝に頂戴しました。なお、一部青字で注釈を加えて編集しています)
「パスポートコントロール」と言われてバスから降りたので、入国時のクロアチア側の担当者だと思っていましたが、通常の状況を知らないので正確には断定しかねます。(場所は、Letenye – Goričan határátkelőhely Letenye, E65, 8868 Hungary https://maps.app.goo.gl/gYh3tpLZhTnWRGSz5 です)
ただ、担当者は、入国審査官ではなく警察(入国警備官)だったと思います。policija(※クロアチア語で「警察」という意味)という文字が書いてありました。
英語もあまり話せないようで、クロアチア人の乗客に通訳をしてもらい会話しましたし、パスポートの渡航履歴は一旦事務所に戻って確認していました。
支払いを求められ、€2000は現金のみだと言われ、手持ちは足りないですし、クロアチア人の乗客には保険は降りないだろうと助言されたので、諦めた方がいいだろうという判断をしました。
このお金の名目についての警察の話は、単に“For today’s conditions by corona virus, if you pay €2000, you can continue your travel, if not, you have to go back. (新型コロナウイルスでこんな状況だからだ。もし2000ユーロ払うなら旅を続けさせてやる。もし払えないなら引き返せ)”と、だいたいこんな内容のことを言われただけで、ほとんど説明はありませんでした。
14日以内に渡航履歴があるから入れないという話は、他の乗客の方から教えてもらいましたが、自主隔離とどう関係あるのかは分かりませんでした。
その乗客によると今日(3月11日)から更に入国管理が厳しくなったと言ってたので、お金の名目はよく分からないけれども、罰金のようなものか、と勝手に納得していました。
なお、同乗の方々はとても優しく、フリックスバスの運転手は最初もっと小さな村で私を降ろそうとしたのですが、もっと大きな街にするよう交渉してくれたりしました。なので、とりあえず無事でいるので、その点はご安心ください。
また、ブダペスト滞在中は、報道でもあるように「コロナ」「家に帰れ!」などとも言われ絡まれることが日に複数回あり(いずれも怪しい身なりの人や、10代の子供たちですが)、今回の件でこの国のことを嫌いになるのは勿体ないと思い、これ以上嫌な思いをしないうちに帰ることに決めました。 少しでも、他の方の安全や状況把握に寄与出来れば幸いです。
日本人男性は「(過去14日以内に日本に滞在していたということを理由に)ハンガリーに引き返すか、€2000を支払ってそのまま旅行を続けるか」という選択肢を迫られたとのことですが、要するに「2000ユーロを払えばクロアチアに入国、旅をさせてやる」ということ。
現時点では、クロアチア当局は「日本を含む一部の国・地域からクロアチアへ入国する全てのクロアチア人及び外
「日本へ渡航歴があるから、感染拡大防止のために入国許可が出せない」というならあり得ない話ではありません(※)が、現状のクロアチアで「2000ユーロを払えば入国許可を出す。払わないなら入国させない」なんていうルールはどうもおかしい。
(※ただし、現状でもこのような措置は取られていません。日本からの渡航者についての措置は「【要注意】日本からクロアチアへの渡航者は14日間自主隔離!旅行計画は慎重に」でお伝えしているとおりです)
私は日本人男性からこのメールを頂戴した時、最初に抱いた感想は「当局の措置に乗じた悪質な詐欺の一種かも」というもの。
念のために当局のHPに掲載されている情報などを調べてみましたが、私が確認できる限り、そんな情報はありませんでした。(もし今後、万が一にもそのような措置が取られているのだとすれば、必ず当ページ、サイトでみなさんにお知らせしますね)
ただ、状況が状況で混乱していたことでしょうし、しかもクロアチア語⇔英語と、たまたまバスに乗り合ったクロアチア人の通訳をはさんでの会話だったとのことなので、(クロアチア人の方の英語レベルがどのようなものかも定かではないため)翻訳の過程でミスコミュニケーションが生じた可能性も完全に否定することはできません。
もし入国審査官(あるいは警備官)が不当請求をしていたのではなく、ただ真面目に職務を全うする良い人だったと仮定すれば、ひとつ考え得る可能性としては、「今後14日間、クロアチア国内で自主隔離するとすれば2000ユーロくらい必要になるけれど、持っていますか??」という意図で聞かれたのかもしれません。
該当国・地域からクロアチアに入国した者の「自主隔離」に伴い発生する費用は基本的にすべて自己負担。クロアチア政府は負担しません。なので、「クロアチアに入国したら、あなたは自主隔離の対象になってしまいますよ。自主隔離のためのホテル代とか2000ユーロくらい費用がかかると思いますが、手持ちはありますか?」と心配してくれたのかも・・・。
ただ上でご紹介した日本人男性のメールにあるように「For today’s conditions by corona virus, if you pay €2000, you can continue your travel, if not, you have to go back.」というようなことを言われたとのことなので、残念ながら不当請求、あるいは次に紹介する偽入国管理官の可能性が高いと個人的には思っています(あくまでも私の個人的な見解です)。
現状、クロアチア政府はそんな措置を行ていませんし、本当に日本人男性に国境で2000ユーロを払わせようとしていたのなら、不当な請求、詐欺まがいの行為です。
それから、もうひとつ考えられるのは偽国境管理官による犯罪の可能性です。
2000ユーロを要求してきたとされるスタッフは「Policija(警察)」と書かれた制服を着ていたとのことですが、そもそもその人が本物の入国管理官だったのかもわかりません。海外では「ニセ警官」もいますからね。
クロアチア国内の状況や大金を請求された名目がよくわからないので、ひとまず日本人男性は大金を支払わずハンガリーに引き返されたとのこと。とてもご賢明な判断をされたと思います。
「そんなルールはないはずだ!ちゃんと説明してほしい」と反論、説明を求めるのもありなのかもしれませんが、よく状況がわからない中の異国の地での一人旅。どんなトラブルに巻き込まれるかもわかりませんものね。
海外でこんな目に遭われて、とても混乱し心細かったことでしょう。同じバスに乗っていたクロアチア人たちが助けてくれたとのこと、またこんな思いをされたのに「今度こそクロアチアへ行きたい」とおっしゃってくださることにに心があたたまる一方で、(もしミスコミュニケーションによる勘違いなどではなく、入国警備官が本当に国境で2000ユーロを日本人男性に払わせようとしていたのなら。あるいは偽管理官であったのなら)、悪質な行為に本当に(!!)腹が立ちます。
このようなケース(警察などの国家公務員が不正請求してくる、偽警官、偽の職員がいるなど)は、日本ではなかなか想像しがたいでしょうが、海外ではありえない話ではありません。
当サイトでもここ数日、しつこく「また、新型コロナが終息するまでの間、クロアチアへお越しになる方は、万が一戸惑うような事態になっても冷静に対応なさってくださいね」と繰り返しお伝えしてきましたが「万が一戸惑うような事態」とは、今日ここで紹介したようなケースが良い例です。
今回のケースの真意はともかく、クロアチアに限らず、新型コロナ騒動の混乱に乗じて、今後その国の情勢がわからない外国人旅行者をターゲットに不当をはたらく不届きものがでてくるかもしれません。新型コロナウイルスが終息するまでの間、クロアチア旅行、海外旅行を計画されている方はどうか気を付けてくださいね。
私自身は3月3日にスロベニア=クロアチアの国境を日帰りで行き来して以来、自宅があるザグレブにずっと留まっていて、国境リアルな状況が把握できていなかったので、日本人男性からの貴重な情報に感謝いたします。
もし今クロアチアにご滞在中で「こんなことがあったよ。他の旅人のために、クロたびで情報シェアして」という方がいらっしゃったら、ぜひメール(info@crotabi.com)かFacebookのコメント欄でお知らせいただけると嬉しいです。
クロアチアにおける新型コロナウイルス関連の最新情報は、今後も「【まとめ】新型コロナ、クロアチア旅行は中止するべき?現地の状況は?(随時更新)」にてまとめ&随時更新していきますね。
(2020年3月12日 小坂井真美)
クロアチア新型コロナウイルス現地情報まとめ(随時更新)
⇒ 2月6日公開: クロアチア人はマスクをしない?!コロナウイルスへの反応は?
⇒ 2月27日公開: 新型コロナの影響で、クロアチア入国時にトラブル…?!
⇒ 2月28日公開: 【重要】クロアチア入国時、日本からの渡航者に対する措置について(新型コロナ最新情報)
⇒ 3月1日公開: 2月29日:クロアチアでのコロナ感染者6名に。現地ではどう報道されている?
⇒ 3月4日公開: (実体験)新型コロナ、クロアチア入国時の臨時措置。どんな書類が渡される?&疫学者への電話報告を行ってみた
⇒ 3月5日公開: 新型コロナ、クロアチア=スロベニア国境超えの影響は?スロベニアの観光地の様子は?(実体験)
⇒ 3月7日公開: 新型コロナ、クロアチア現地の様子は?アジア人は差別される?差別されたらどう対処すればいい?
⇒ 3月9日公開:【要注意】日本からクロアチアへの渡航者は14日間自主隔離!旅行計画は慎重に
⇒ 3月11日公開 : 【続報】新型コロナ┃3月、4月にクロアチア旅行を計画されている方は延期のご検討を
★また最新情報があれば、まとめページでみんさんに共有しますね!
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