【体験談】ザグレブのスリに狙われてみました…!クロアチア治安情報
今年(2018年)もいよいよ、あと2週間で終わりですね。
夏が観光シーズンのクロアチア。冬、しかもクリスマスも間近となり、完全な観光オフシーズンに突入したクロアチアですが、筆者が住む首都のザグレブはクリスマスマーケットも盛り上がり、オフシーズンとは無縁の賑わいを見せています。
平日、週末関係なく、毎日多くの人で賑わうクリスマスマーケット。楽しい雰囲気でつい気が緩みがちになりますが、スリに要注意です!
今年も何度も当ブログで注意喚起を行ってきましたが、非常に残念なことに今年も多くの日本人観光客がクロアチアでスリ被害に遭ってしまいました。
実際にお越しくださる日本人観光客のみなさんも口を揃えて「クロアチアは美しくて、平和で、のんびりしていて・・・とても良いところですね!」と言ってくださるようなクロアチアなのに、一方でついつい油断してしまう観光客を狙う卑劣なスリが近年急増しており、とても悲しいです。
筆者は仕事柄、スリ被害に遭われた方のために諸手続きのサポートを行うこともあるため、実際に被害に遭われた方のお話を直接お伺いすることがあります。
また「残念ながらクロアチア旅行中にスリ被害に遭ってしまいました」「スリに遭いかけました。幸い未遂でしたが・・・」という日本人旅行者のみなさんから「今後、他の日本人のみなさんが同じように被害に遭わないように、よかったら情報発信してください」と今年も何件ものメールを頂戴しました。
また、在クロアチア日本大使館の領事担当官の方からも、実際に日本人観光客が遭った様々なスリ被害のケースをお伺いしましたが、みなさんそれぞれのお話にすべて共通点がありました。それは2人~3人組の女性、または子供のグループによる犯行ということ。
(※関連記事 : 【必見】日本大使館に聞いた、クロアチアの治安&日本人が遭いやすいトラブル )
去年までは「景色に魅入って散策していたら、気が付いたら身体のうしろ(死角)にあったカバン(リュックサックなど)が開いていて、貴重品がなくなっていた」という単純なスリが多かったように思いますが、今年はグループによる巧妙な犯行が多発しました。
その手口は「【実録】ザグレブのトラム車内で多発しているスリの手口」で詳しくお伝えしているように「スリグループの一人がターゲット(被害者)の気を逸らしている間に、もう一人(のスリ仲間)がカバンを物色して犯行に及ぶ」というもの。気を逸らす方法は「(ターゲットに)話しかける」「(ターゲットに)身体を押し付ける」など様々です。
このように、たくさんの方から当サイトにお寄せいただいた情報を元にみなさんに注意喚起を行っているため、筆者自身も日々外を歩く時はスリには用心しているのですが、いつの間にか何となく「あっ、この人きっとスリだ・・・」というようにスリを見抜く感覚がついてしまいました 🙄
ところで、特に今年はザグレブの6番線トラムでのスリ被害が非常に多く、残念なことに当サイトにも「クロたび(当サイト)で注意喚起を読んでいたのに、ザグレブのトラムでスリ被害に遭ってしまいました・・・」という声を何度も頂きました。
被害に遭われた方(または被害未遂にあった方)たちは決して「自分はスリに遭わない。大丈夫」と油断していたのではなく、むしろ「スリが多いらしいから気を付けなければ・・・」と心得ていらした方がほとんど。
「それなのに、どうしてスリに遭ってしまったんだろう?」と、もどかしい思いでいたのですが、実際に筆者自身がその鮮やかなスリの手口を“体験”してみて「なるほど!これは気づかないかも・・・」と、思わず納得してしまいました。
筆者の文章力ではなかなかその様子をリアルにお伝えできないかもしれませんが「少しでも被害に遭う方が減れば・・・」という想いで、その時の様子を次にまとめてみました。
スリの手口を“体験”!!
筆者がスリに“あった”のは今年の10月中頃。(本当はもっと早くに当ブログにまとめてお伝えしたかったのですが、ついつい遅くなり気づけば12月になってしまいました・・・💦)
ザグレブの中央バスターミナルからイェラチッチ総督広場前に移動するため、ゲストと共にふたりで駅で6番トラムを待っていました。
当サイトでも何度も注意喚起をしている通り、近年スリ被害が多発していることで悪名いザグレブのバスターミナル=イェラチッチ総督広場間を結ぶ6番線トラム。
「今から乗るトラムはスリが多いので、くれぐれも気を付けてくださいね」とゲストにお伝えし、お話をしながらトラムを待っていたのですが、私たちの近くで電話をしていた白人女性が妙に気になったのです。
理由は「なんとなく」・・・つまり勘。
小さなリュックサックを背負って、観光客とも現地人とも捉えられる恰好・・・。周りをキョロキョロしながら、クロアチア語ではない外国の言葉でひたすら何かを話している(会話というより、何かを説明しているような感じ)お姉さんに少し違和感を覚えたのです。
(ちなみに、このお姉さんの見た目ですが、歳は20代半ばくらい、色白で茶髪、身長は155~160㎝くらいでした。クロアチアにはこのような感じのお姉さんはたくさんいるので、あまり参考にならないと思いますが・・・)
「ひょっとして・・・スリかも」と思い、ゲストに「疑うのは良くないかもしれませんが、ひょっとしたら、このお姉さん、スリかもしれないので、気を付けてくださいね」と伝え、しばらくお姉さんの様子を観察して警戒していました。
電話をしながらキョロキョロ・・・そしてトラムを待つ人々の間を縫うように歩くお姉さん。
駅には私たち以外にも、アジア人観光客が3組程、その他にも観光客らしい方の姿が少し離れた所に見えたのですが、お姉さんの視線を追うと、どうやら観光客の荷物やカバンをチェックしているように見えました。
筆者の心の中にあった疑惑はますます大きく・・・。
アジア人観光客の中には、日本人らしき方の姿もあったので「ターゲットにされないだろうか・・・」とひとり心の中でハラハラ・・・。
お姉さんがスリだと100%確証があったわけではないですが、老婆心が炸裂してしまい「トラムはスリが多いので、気を付けた方がいいですよ」と観光客の方に声をかけようと思っていたところ、待っていた6番トラムがやって来るのが見えました。
「トラムが来た!」と一瞬気を取られているうちに、お姉さんの姿を見失ってしまった筆者。
とりあえず、トラムの先頭車両(※)に乗り込んで「ひょっとして、向こうにいた日本人観光客のみなさんの方にいったのかな!?」なんて心配していたら、トラムの扉が閉まるギリギリに「待って、待って~!」という感じで、バタバタとあのお姉さんが走って乗り込んできたのです。しかも、どこからやってきたのか、さっきまで駅にいなかった2人の女性を引き連れて!
(※ザグレブのトラム内のスリはチケットの打刻機周辺で多発しています。打刻機が設置されているのは先頭車両と一番うしろの車両の2か所のみ。特に先頭車両での犯行が多い傾向にあります)
これまでの怪しすぎる行動に加え、追加でやってきた女性のひとりの見た目が、この夏、被害者のみなさんからよく聞いた特徴(黒髪で少し小太りのロマ女性)とよく似ていたので、「あぁ、やっぱり・・・。この人たち、絶対にスリ集団だ」と、この時点で確信を抱きました。
この日筆者はいつものようにリュックサックを背負っていたので、幸か不幸か、どうやら観光客の集団を物色した上で筆者に狙いを定めたのでしょう 😆 (笑)
(他の観光客の中にもリュックサックを背負っている人もいましたが、留め具がバックルタイプのものをお持ちでした。筆者のリュックサック(↑ 上の写真)のようにチャックタイプのものは(留め具がバックルタイプと比べると)スッと開けて盗りやすいのでスリに目をつけられやすいのでしょう
当サイトでも何度もお伝えしていますが、一番スリに狙われやすいのがリュクサック。筆者は「リュックサックはスリに狙われやすいから気を付けてくださいね」なんてみなさんにお伝えしておきながら、仕事柄、日頃リュックサックを愛用しています 😆
とはいえ、リュックサックが狙われやすいのはよ~くわかっているので、スリに狙われやすい場所に貴重品は絶対に入れていません。
この日もリュックの中に入っていたのは、予備の上着とバナナ、水、ノート程度🍌 スマホやお財布など、盗られて困るようなものは一切入れていませんでした。
幸い空いていたトラム車内。ご一緒していたゲストは、乗車後にすぐに「打刻は私が済ませてきますので、空いているあちらへ・・・」と、トラムの中央部分へと誘導したので、打刻機周辺に立っていたのは筆者一人と怪しい3人組だけでした。
打刻を終えて、ゲストが待つ車内奥へ進もうとした筆者。
すると(最初に駅で見かけた)お姉さんと後からやってきたもうひとりの女性が、ふたりで何かを話しながら、(トラム車内はガラガラなのに)手すりを持つ手で筆者を「通せんぼう」をして行く手を阻もうとするのです。
「あぁ~怪しい!超あやしい!!」と心の中で失笑しつつも「すみません、通してもらえます?」とお姉さんたちに声をかけても「あぁ~。ちょっと待って~。トラムが揺れて、つかまっていなきゃ立ってられないわ~」とでも言うように、こちらへ(警戒心を解かせるため)ニコッと笑顔を向けながら(トラムはさほど揺れていないのに)白々しすぎる演技。
「さては、私に狙いを定めたんだな・・・(笑)」と悟った筆者は、「それなら、一度試してみよう」という気持ちになり、リュックサックをわざと無防備に(右手で取っ手を持って、死角となる身体背後の位置で)床に置いてみることにしました。
すると(最初に駅で見かけた)お姉さんが筆者にぐいぐいと筆者に身体を押し付けてくるので「やっぱり!スリだ」と200%確信。(トラム車内はガラガラなのに!!怪しすぎます(笑) ※「車内で身体を押し付けてくる」「チケットの打刻方法を教えてあげると話しかけてくる」というのは、ターゲットの注意を逸らすためによくある手口です)
その後すぐにリュックサックに違和感を感じたので、パッと振り返ると、リュックサックの背面のチャックに小太りの黒髪女が手をかけていました。(身体を押し付けられ、女がリュックサックに手を掛けるまで、この間わずか数秒!!)
筆者が振り返ったので、サッと手を引っ込め、仲間と白々しく会話する演技をしていましたが、しっかりと閉めていたリュックサックのチャックが少し開いていたので確実にスリ犯です。
何食わぬ顔で会話を続けるフリをするスリグループの様子に、怒りがメラメラ・・・(今思い出しただけでも、本当に腹が立ちます !!!)
しかも先にも述べたように、この3人組の特徴が、今年「被害に遭った」と情報を寄せてくださったみなさんが話していた犯人の特徴と非常によく似ていたため「きっと、この人たちが・・・!」とはらわたが煮えくり返るような気持ちでした。
何か証拠があれば良かったのですが、証拠もない・・・。また「盗もうとしただろう!」と問い詰めても、「クロアチア語話せない。英語もわからない。そんなことしていない」とシラを切られるのは目に見えたこと。
(以前、クロアチア人の友達がザグレブ中央駅前でトラムを待っていた時のこと。カバンに手をかけてきたスリ女の手を掴んで「今、すろうとしたな!」と問い詰めても「そんなことしてな~い。クロアチア語話せな~い。英語もわからな~い。オマエ、何言ってる!!あたまオカシイ」と逆切れ、シラを切って逃げられた・・・なんてことがあったという話を聞きました)
非常に悔しいですが、口を開くとブチ切れてしまいそうだった上、(ゲストがスリ未遂に遭ったのなら話は別ですが・・・)関係のないゲストの前で声を荒げるわけにもいかないので、ふつふつ湧き上がる怒りを抑えながら、じ~っと3人組の様子を観察することにしました。
3人組は相変わらず白々しく会話を続けていましたが、筆者があからさまにジロジロ見るので、とても居心地が悪そう。あんなに必死に走って乗車してきたたトラムなのに(わずか300mちょっとやそこら先の)次の駅でそそくさと逃げるように下りてゆきました。
きっと、またバスターミナル駅に戻って次を狙うつもりだったのでしょう。本当に許せないです 😡 !
ゲストの手前、ぐっと怒りをこらえて何も行動しませんでしたが「やっぱりひとこと言ってやればよかった・・・」と今でもモヤモヤ、思い出すと腹が立ちます 😡 😕 😡
ただ、後に日本大使館の領事さんにこの話をお伝えした時「今度、もしそのようなことがあれば、可能であれば(犯人の姿を捉えた)写真を撮ってみてください。地元警察への情報にもなるので」とアドバイスを頂きました。
(元警官のクロアチア人の友達も同じことを言っていました。あまり至近距離で写真を撮ると、相手に気づかれ逆上される可能性もあるため注意が必要、ケースバイケースですが、警察への情報提供や現地ガイドさんのネットワークへの注意喚起に非常に有効です。
実際、ザグレブのガイドさんたちは、街案内をする観光客をスリから守るため、スリ犯の姿を捉えた写真をシェアしたりして情報共有しています)
実際にスリの手口を「体験」したところ、非常にスピーディーな犯行で被害者が気づきにくいプロの犯行だと実感しました。
最初からかなり警戒していた筆者でさえ、お姉さんが身体をぐいぐい押し付けてきた時、つい「なんだ?なんだ!?」と一瞬困惑し、気を取られてしまいました。
「気を付けていたのに、スリに遭ってしまった」という方も、この一瞬のスキを突かれたのだろう・・・と深く実感しました。
そもそもリュックサックに貴重品は一切入れていなかったため、もちろん被害には遭いませんでしたが、きっと無警戒の方はもちろん、リュックサックを開けてすぐ手が届く場所に貴重品を入れていたら、あの一瞬で被害に遭っていたと思います。
スリを警戒している人でさえも、様々な手でその注意を逸らし、一瞬のスキを狙うスリ。
やはり「身体の死角となる所に貴重品を入れない」というのはもちろんですが「カバンを開けてすぐに手が届く場所に貴重品を入れない」というのが鉄則です!
「パスポートやお財布などの貴重品はカバンの内ポケットに入れる」「カバンのチャックに鍵をかける」など、楽しい旅行を卑劣なスリに台無しにされたいためにも、どうか念には念を入れてください。
冬になり、観光オフシーズンになったとはいえ、クリスマスマーケットで連日多くの人で賑わうザグレブでは相変わらずスリ集団が暗躍しているそうです。
スリ被害に遭わないためにも、ぜひ次の記事もご覧ください:
クロアチア、ザグレブへお越しくださるみなさんが被害に遭わないこと、また来年は被害が減ることを願っています!
(2018年12月17日 小坂井真美)
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