クロアチアの「モンサンミッシェル」!?碧い海に浮かぶ町、プリモシュテン
突然ですが、クロアチアの「プリモシュテン(Primošten)」という町の名前を聞いたことはありますか?
日本のガイドブックにはあまり載っていないため「知らない」という人が多いのではないでしょうか。ですが、一度その写真や映像を目にした人の多くが「いつか訪れてみたい」と口を揃える、とても美しい町です。
海に浮かぶその美しい姿から「プリモシュテンはクロアチアのモンサンミッシェルさ!ただし、本物のモンサンミッシェルよりもかなり小さいけれどね。でも、大きさでは本物には敵わないけれど、周りの海の美しさは負けないよ(笑)」と、冗談交じりで自慢するクロアチア人も 😀
小さいけれど魅力的!
「プリモシュテンって、どこにあるの?」「町の中の様子は?」「観光に必要な時間は?」「どうやってアクセスできる?」など、今回はそんなプリモシュテンの魅力、旅情報をお伝えします。
プリモシュテンって、どこにあるの?
クロアチアの観光地として「シベニク」や「スプリット(あるいはトロギール)」は日本でもよく知られていますが、上の地図からもわかるように、プリモシュテンはシベニクとスプリット・トロギールの間の海岸線に位置しています。
スプリット=シベニク間を走るバスに乗って海岸線を走ると、途中プリモシュテンの美しい姿がちらりと見えてくるのですが「そんなきれいな町があるなんて知らなかったから、道中(バスの中で)熟睡していて気が付かなかったよ」という人も多いので、もったいない!
旅の日程に余裕があれば、通り過ぎるだけではなく、ぜひ立ち寄っていただきたい穴場スポットなのです。
それでは、次にプリモシュテンの町中の様子を紹介しますね。
町の中の様子は?
街全体を遠くから眺めるだけでも素敵なプリモシュテンですが、街中がどんな様子なのか、プリモシュテンの歴史と共に垣間見てみましょう!
クロアチアの本土にほど近い小さな島の上に築かれたプリモシュテン旧市街。
プリモシュテン周辺のエリアには、古代ギリシアの時代から人が住んでいたそうですが、現在のプリモシュテンへとつながる物語のはじまりは、時を遡ること11世紀から12世紀にかけてのこと。
現在の(隣国)ボスニア・ヘルツェゴヴィナからこの地へ逃げてきた80人のボゴミル派の人々が、プリモシュテンの基礎を築いたと言われています。
(ボゴミル派とは、10世紀中頃から14世紀末にかけて、バルカン半島で信仰されたキリスト教の一派)
シベニクの貴族たちに保護を求めたボゴミル派の人々は、その願いが聞き届けられ、シベニクから少し離れたプリモシュテン近郊の土地(現在Prhovo(プルホヴォ)と呼ばれる、海から少し離れた陸地)に集落を築くことを許されたそうです。
ですが、人々が安心できる暮らしができたのは15世紀末までのこと。
1480年頃、オスマン・トルコ帝国がこの地を侵略し始め、プルホヴォやその周辺の集落の人々は海に浮かぶ小さな島へ逃げ延び、新しい集落を築いたのです。
そう、その小さな島こそ現在のプリモシュテン旧市街!
「プリモシュテン」という名前が文献に登場するのは1564年のことでしたが、当時のプリモシュテンは既に「ただの一時的な避難所」ではなく、敵から身を守るために小さな島の周囲にはぐるりと石の壁が張り巡らされ、本土とは木製の跳ね橋で結ばれていたのだとか。
18世紀末から19世紀頃になると、橋は壊され防波堤が築かれ、現在のように本土と陸続きになったそうです。
(※参考リンク: プリモシュテンの歴史についてはOpćina Primošten(プリモシュテン自治体)のHPを参考にさせていただきました)
このような歴史を持つプリモシュテン。
今では人々がピリピリしながら生きていた時代があったなんて想像もつかないような、非常にゆったりとした穏やかな時間が流れています。
冒頭の写真からもわかるように、島全体が小高い丘のようになっているプリモシュテン旧市街。
頂上には聖ユーライ教会(または聖ゲオルギオス教会。クロアチア語ではŽupa sv. Jurja)が建っているのですが、教会に向かってゆるやかな坂道が続いています。
とても小さな町なので、地図なんていりません。
石造りの可愛らしい民家や、その間から見える青い海の美しい景色を楽しみながら、ぶらりぶらり・・・
頂上を目指してのんび10分程歩けば、教会前にあっという間に到着します。
丘のてっぺん、教会の前には墓地が広がっているのですが、とてものどかな風景。
お墓だからと言っておどろおどろしい雰囲気は一切なく、ここに辿り着いた旅人たちはみんな、心地よい風に吹かれながら、真っ青で美しいアドリア海の景色を楽しんでいる様子でした。
「こんなところで永遠の眠りにつけたら素敵だな」
思わずこう呟きたくなるような、のどかで美しい景色が広がっています。
観光に必要な時間は?
上でも述べたように、旧市街の入り口から島の頂上まで徒歩10分程度という小ささのプリモシュテン。
旧市街内には何件かお土産屋さんやレストランなどもありますが、決して「がっつりと観光・街歩き、ショッピングを楽しめる!」というような町ではありません。
プリモシュテンは「あちらこちらと忙しく歩き回って観光や買い物を楽しむ」のではなく、のんびりとした贅沢な時間を過ごすのにぴったりの場所。
ゆっくりと街並みを楽しみながらそぞろ歩きをしたり、輝くアドリア海を眺めながらぼ~っとしてリラックスしたり、海風に吹かれながら家族や友達と食事とおしゃべりを楽しんだり、海水浴を楽しむための場所なのです。
地元のおじさんの話では「日本人観光客だけではなく、アジア人観光客全般、まだまだ少ないよ~」とのことですが、夏になるとバカンスを楽しむクロアチア人やヨーロッパ(特にドイツ人)からの観光客で賑わう人気の穴場リゾートです。
またプリモシュテンのラドゥチャ(Raduča)ビーチは「クロアチアでも最も美しいビーチのひとつ」と称えられる程の美しさ。
それなのに、まだまだ穴場的存在のプリモシュテンは、クロアチアの人気観光地がバカンス客で溢れかえる7月・8月でも、ビーチが“いも洗い状態”になることはなく、旧市街内も(日中、暑い時間帯は)空いていて、心からのんびりとした時間を過ごすことができます。
(せっかくなので、できれば半日くらいゆっくりしていってほしいですが)「現地での貴重な時間。あまりゆっくりしている時間はないけれど、プリモシュテン旧市街を浜辺から眺めて(冒頭の写真のような景色)、とりあえず島のてっぺんの教会まで行ければ満足」というお急ぎの方は、かなり忙しいですが1時間ちょっとあれば実現可能。
(ちなみに、冒頭の写真の景色が見えるあたりのスポットから旧市街入り口まで徒歩15分くらいです)
「シベニク=トロギールまたはスプリット間を移動する際、ちょこっと立ち寄ってのんびりしてみたいな」という方は、のんびりランチタイムを含めて3時間程度が目安です。
ですが「クロアチアの美しいビーチで“何もしない時間”を楽しみたい。ただただ、美しい海の景色に癒されたい~」という方には、プリモシュテンに泊まってみるというのもおすすめ。
あちらこちら忙しく動き回るよりも、のんびりとしたバカンスが好きなクロたびスタッフは(夏はいつもすごく忙しいので、まだ実現できていませんが・・・)「いつかプリモシュテンで数日間滞在して、海を眺めながらリラックスしたいな~」と思っているのですが、想像しただけで幸せな気持ちになります(笑)
それくらいリラックスした時間を過ごすことができるプリモシュテン。
特に夏、クロアチアへお越しの方はぜひ立ち寄ってみてくださいね。
プリモシュテンへの行き方
「プリモシュテンに泊まってみよう」という方以外は、シベニクやスプリット、トロギールからの日帰り、もしくはシベニク=トロギールまたはスプリット間の移動途中に立ち寄る(※)のがおすすめです。
((※)ただし、たくさん荷物がある場合はバスで途中立ち寄ると大変なので、やはり日帰りの方が身軽でいいかもしれません。もしくは専用車やレンタカーなど車で移動する方は、車内に荷物を置いておくことができるので、気軽に立ち寄ることができますね)
最後に各町からの所要時間と運賃の目安をまとめてお伝えしますね。(シベニク、トロギール、スプリットともに、すべて中央バスターミナルから出発するバスでプリモシュテンへアクセスできます。バスのチケットはネットで事前予約するかバスターミナル現地でお求めください)
【シベニク=プリモシュテン】
所要時間:片道約30分
運賃:3ユーロ~4ユーロ
運行間隔:1時間に1本
【トロギール=プリモシュテン】
所要時間:片道約35分
運賃:4ユーロ
運行間隔:1時間に1本
【スプリット=プリモシュテン】
所要時間:片道約1時間
運賃:5~6ユーロ
運行間隔:1時間に1本
なお「バスに自力で乗れるか不安・・・」という方は、次の記事をヒントにしていただけると嬉しいです
(小坂井真美)
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