世界最小の「町」
「世界最小の町」と謳われる、イストラ半島の小さな町フム(Hum)。人口わずか20人程度のフムは「町」というよりも「村」のようですが、公式には「町」とされているそうです。
フムには小さなレストランとお土産屋さんが数件、そして数件の民家がありますが、あまり観光客が来ない秋から春先に訪れると、人っ子一人にも出会わないことも。
そんなひっそりとした平和な時が流れる町を歩いていると、まるでどこか別の世界に迷い込んでしまったかのような不思議な感覚にとらわれます。
フムの見所
小さいけれど、千年もの歴史を持つフム。町そのものが城砦であったフムは、街の周囲が城壁でぐるっと囲まれています。
一周するのにも5分もかからない小さなフム。心の赴くままにのんびりと散策を楽しみましょう。
まず町の入口でお出迎えしてくれる重厚な鉄の扉。よく観察すると12種類の絵が彫られているのに気が付きます。
これは毎月の町人たちの暮らしを表したもの。門をくぐり中にはいるとグラゴール文字が彫られた石碑を見ることができます。
町の広場には800年以上も前のフレスコ画が保存されている聖イェロリム教会や鐘楼が位置します。
時間に余裕のある方は、フムに来た記念に地元のお酒フムスカ・ビスカ(Hunska Biska)を1杯楽しんでみて。
「フムスカ・ビスカ」とはクロアチア語で「フムのビスカ」という意味。ビスカとはヤドリギなど数種類のハーブから作られたイストラ半島の名産です。
巨人が創った町
さて、最後にひとつフムにまつわる面白い伝説をご紹介しましょう。
「巨人が創った美しき天空の街「モトブン」とヴェリ・ヨジェ伝説」という記事で、モトブンやブゼットのように丘の上に築かれた美しいイストラの町々は巨人により創られたという伝説をお伝えしましたが、フムもそんな町のひとつ。
なんでも、モトブンやブゼット、グロジュニャンなどを創るために大きな石を全部使ってしまった巨人は、あまった小さな石でフムを創ったのだとか。なんとも可愛らしい伝説ですね。
フムへ行くにはレンタカーや現地ツアーを利用すると移動がスムーズです。
世界一小さい町、フム。「他の人はなかなか行かないスポットに行ってみたい!」という方はどうぞお見逃しなく!
(小坂井真美)