ザグレブ市民の暮らしを見守り続ける「石の門」
何百年にも渡りザグレブ市民の暮らしを見守り続けてきた「石の門」。現在の姿は18世紀に造られたものですが、門は中世の時代にすでに存在していたという記録が残されています。
かつて大聖堂を中心とした聖職者の町「カプトル」と、聖マルコ教会を中心とした商人の町「グラデツ」というふたつの町に分かれていたザグレブ。それぞれの町は異民族の侵入から守るために石の壁で囲まれていました。そんな中世の時代、グラデツに入る門は6か所存在していたのだとか。しかし、現在は壁も取り壊され、現存している門もこの「石の門」だけとなりました。
石の門の中には聖母マリアが祀られた小さな礼拝堂があります。礼拝堂にはイエス・キリストを抱く聖母マリアのイコンが安置されていますが、これは1731年のザグレブ大火災で奇跡的に無傷で焼け残ったもの。聖母マリアはザグレブの守護聖人でもあり、毎日ザグレブ市民が祈りを捧げに足を運びます。
今も人々の厚い信仰を集める石の門ですが、中世の時代も人々はここで毎日祈りを捧げていたのだとか。上でも述べたように、かつて壁で囲まれていたグラデツの町。現代とは異なり、壁の外は山賊などもうろつく危険な場所だったそうです。
ですが、生きるために町人たちは毎日壁の外にある農地に農作業に出かけなくてはいけません。そこで毎朝、石の門から外に出かける人々は「今日も1日お守りください」と祈りを捧げ、夕方戻ってきた時には「今日も1日お見守りくださりありがとうございました」と感謝の祈りを捧げたのだそう。
また、日本のガイドブックにはあまり載っていないのでみなさん見落としがちですが、石の門の外壁にはザグレブを代表する作家、アウグスト・シェノアの小説「ズラタロボ・ズラト(宝石商の娘)」に登場する美しい主人公、ドラ・クルピチェヴァの銅像と、17世紀に石の門の上に魔女除けのために作られた鎚鉾を見ることができます。
それから、石の門を出て坂道(カメニタ通り/Kamenita ulica)を上がってすぐ、左手に趣のある薬局が見えてきます。この薬局は「ザグレブで一番古い薬局」で1355年から営業を続けているもの。なんと、1399年にはダンテ(”神曲”の作者)の孫ニコロ・アリギエーリが薬剤師としてここで働いていたのだとか・・・!
あと、もうひとつ面白い言い伝えが。薬局の向かいに鎖が置かれているのですが、これははネルソン提督のヴィクトリー号の鎖だと言われており、1878年からここにあるそうです。
知らなければ絶対に見落としてしまいそうな見所、ザグレブ散策の際はぜひお見逃しなく!
なお、教会や大聖堂といった建物の中ではないので“「石の門」は神聖な場所である”という認識が低いのか、観光スポット感覚で訪れる観光客が多いのですが、ザグレブの人々にとってここはあくまでも神聖なお祈りの場。お祈りをしている方に迷惑がかからないように、石の門の中では大声で話したり、フラッシュをたいて写真撮影をするなどの行動は控えたいですね。
以上楽しいザグレブの街歩きの参考になれば幸いです。
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