クロアチアのブロドスキー・バロシュという村には、10年以上ものあいだ「遠距離恋愛」を育んできたコウノトリの素敵なカップルがいます。クロアチア中が温かく見守り続ける二羽の名前はクレペタン(雄)とマレナ(雌)。
今日はそんなクレペタンとマレナについてのお話をお伝えしますね♥
マレナは20年以上前のある日、ハンターに羽を鉄砲で打たれてから飛べなくなってしまいました。クロアチアに住むコウノトリたちは毎年夏が終わる頃に越冬のために南アフリカへ飛び立つのですが、空を飛ぶことができなくなってしまったマレナは冬をたった一羽、ブロドスキー・バロシュ村で越します。
そして春になり、越冬地である南アフリカからクレペタンが帰って来るのをひたすら待ちわびているのです。
南アフリカからクロアチアまでクレペタンが飛ぶ空の旅は、なんと約1万3500キロメートル!15年もの間、クレペタンは毎年欠かさずマレーナのもとへと戻ってきます。
クレペタンがブロドスキー・バロシュ村を飛び立つのは毎年8月末のこと。そして3月の中頃を過ぎるとマレナの元へ戻ってくるのです。
クレペタンが戻ってきたら、マレナは卵を産み、クレペタンと一緒に大切に雛鳥たちを育てます(1回の産卵で3~4個の卵を産みます)。
(クロアチアのニュース↓)
その一途なクレペタンとマレーナの様子を、毎年楽しみに温かく見守り続けているクロアチアの人々。その注目度はとても高く、毎年度々大きくニュースで取り上げられます。
特にクレペタンの帰還はクロアチア中が注目する一大イベント。その様子は国中で生中継されるほど!マレナだけではなく、クロアチア中がクレペタンの帰還を待ちわびているのです。
すでに3日程前から、村の民家の屋根の上にあるマレナとクレペタンの巣の前には、カメラが設置され、24時間生中継されています(↓↓↓ 下の動画の再生ボタンを押してください。ライブ動画になります)
ところで冒頭で「空を飛ぶことができなくなってしまったマレナは冬をたった一羽、ブロドスキー・バロシュ村で越します」と書きましたが、村でマレナは決してひとりぼっちではありません。
クレペタンがいない冬の間、心優しい村の住人、スティエパン・ヴォキッチさんという男性がマレナを温かくお世話しています。マレナとヴォキッチさんの出会いは1993年のある日のこと。ハンターに打たれ傷ついたマレナをヴォキッチさんが保護されたそうです。
ヴォキッチさんにいっぱいの愛情を注がれ元気になったマレナ。もう空は飛べませんが、ずっとヴォキッチさんと仲良くこの村で暮らしています。
このようにヴォキッチさんや村人と仲良く暮らしていたマレナですが、15年前にクレペタンと出逢い、それからというものお互いひと筋なのだとか。マレナは決して他のオスの求愛を受け入れることなく、クレペタンも決して他のメスの元へ行くことなく、一途な愛を育んできたのです。
まっすぐでひたむきなマレナとクレペタンの愛に思わず心打たれますね・・・!
(↑↑↑ 動画に登場するおじいさんがスティエパン・ヴォキッチさん。動画内0:27あたりでヴォキッチさんが大切そうに巣から拾い集めているのはクレペタンの羽です。「クレペタンの羽を無駄にしないように・・・」と、ヴォキッチさんはクレペタンの羽で羽ペンを作っています)
今年はクロアチアの有名な飲料水「ヤナ(Jana)」を販売する企業が、マレナとクレペタンを起用したキャンペーンも行っており、クロアチアはますますマレナ&クレペタン・フィーバーが高まっています。
そのキャンペーンの内容とは、次のようなもの。
1.「あたなにとっての大切な人」に向けてのラブレター(メッセージ)をJanaのホームページ(クロアチア語)の応募フォームに入力して送信してください
2.送られてきたすべてのメッセージの中から特に審査員の心を打ったものが選ばれ、クレペタンの羽から作られた羽ペンで、スタッフが手書きのメッセージ(手紙)にします。
3.完成した手紙を、あなたの大切な人の元へお送りします。
素敵なキャンペーンですね♥ どんな熱いメッセージが寄せられるのでしょうか?!
とにもかくにも、どうかどうか今年もクレペタンが無事にマレーナのもとに戻ってきますように・・・!
(2017年3月19日 小坂井真美)