みなさん、こんにちは!
クロアチア在住ガイドのまみです。
今回はアート好きの方は必見!
ドブロブニクを訪れたらぜひ足を運んでいただきたい、とっても素敵なギャラリー&アーティストさんをみなさんにご紹介したいと思います。
アーティストさんのお名前はステェプコ・マミッチ(Stjepko Mamic)さん。
クロアチアを代表する現代アーティストで、ドブロブニク旧市街の路地の一角(フランシスコ会修道院の隣)にアトリエ『STJEPKO ART』を構えていらっしゃいます。
温かいお人柄のステェプコさん
クロアチアに住みはじめてもう10年。
数えきれないくらいドブロブニクを訪れてきて、いつもステェプコさんのギャラリーの前を通る度に「素敵な絵だなぁ・・・もっと近くでゆっくり見てみたいな・・・」と思っていましたが、なかなか勇気がでませんでした。
ですが、この夏たまたまドブロブニクに仕事で滞在している期間中、ステェプコさんの展覧会がドブロブニク旧市街のスポンザ宮殿で開かれていることを知り、「これはステェプコさんの絵をじっくり拝見できるチャンスだ!」とウキウキ、仕事が終わったあと向かいました。
・・・が、結婚式のパーティー会場となって、その片づけのため臨時CLOSEとなっていて大ショック・・・!
とっても楽しみにしていたので、このままでは諦めきれない・・・ひょっとしたらアトリエの方にいらっしゃるのではないか・・・と思って、向かってみたらステェプコさんがいらっしゃいました。
私は普段まったく人見知りをするタイプではないのですが、とても有名なアーティストさんなので「なんとお声をかけてアトリエにおじゃましようか・・・」と、つい緊張してドキドキ。
でも「ここまで来たのに、引き返すと後悔する・・・」と、勇気を出して「ドーバル・ダン(クロアチア語で『こんにちは!』)」とアトリエの中へおじゃますると、スティエプコさんが「ドーバル・ダン」と、あたたかい笑顔で出迎えてくださいました。
昔からアトリエの前を通りかかる度にステェプコさんの絵の美しさに心惹かれていたこと、でも勇気がなくてアトリエの中へ入ることができなかったこと、この日スポンザ宮殿へ展覧会を楽しみに行ったら閉まっていてショックだったこと、そしてここに来たことをお伝えしました。
突然アトリエを訪問してきた見知らぬ私を相手に、優しい笑顔で耳を傾けてくださったステェプコさん。
それだけでも十分嬉しいのに、「そこに腰かけて、コーヒーでもいかがですか?」とお誘いくださり、いろいろお話を聞かせてくださいました。
海と共に歩むステェプコさんの人生
国際的にも有名なアーティストであるステェプコさんですが、稀有なキャリア・人生を歩んでこられました。
子供の頃から絵が描くのが好きで、小さい頃からすでに周囲の人々にその才能を見出されていたのにも関わらず、一度は画家ではなく船長になる道を選ばれました。
商船の船長として30年間キャリアを積んだのち、周囲から惜しまれつつ、故郷ドブロブニクへ戻り画家に転身。
フィレンツェのアカデミア・ダルテ(美術学校)やパリのアカデミー・ドゥ・ポールロワイヤル(美術学校)で現代アートの技法を学ばれ、サロン・ドートンヌ(毎年秋にパリで開催される展覧会)をはじめ、世界各国の展覧会に出展。
これまで日本でも数回、展覧会を開かれたそうです。
また、クロアチア国内の団体はもちろん、フランスのテーラー財団やアンデパンダン美術協会(独立芸術家協会、Société des Artistes Indépendants)やイタリアのAccademia Culturale Europeaをはじめ、世界各国の美術協会の会員として名を連ねています。
30年もの船長としてのキャリアだけでもすでに人並外れた経歴なのに、今度は画家としても頭角を現したまさにスーパーマンのような方!
そんな一流かつ異色の経歴を持つステェプコさん。
彼の美しい絵画にはそれにふさわしい値がつけられており、クロアチアはもちろん、海外の美術愛好家、コレクターたちに愛されています。
私はそれを知っていたため、「一度近くで拝見してみたいけれど、きっと私には気軽に手が届かないだろうし・・・。それなのにアトリエに足を運ぶのは失礼かな・・・」と、いつも気後れしていたのですが、そんな不安を消し去るように気さくに接してくださり、絵画以外にもこの世界について、人間について、さまざまな興味深いお話を聞かせてくださいました。
噂でステェプコさんの素敵なお人柄について耳にしていましたが、おちゃめで優しいお人柄はもちろん、お話の端々から感じられる彼の哲学、世界観にふれることができて、作品だけではなくステェプコさん自身の大ファンになってしまいました。
ところで、「つい最近、シュノーケリングをした時に海底で見つけてね・・・」と、貝殻をおもむろに取り出して見せてくださったのですが、今でもよく奥様とドブロブニクの海でシュノーケリングを楽しんでいらっしゃるのだとか。
海の街で生まれ育ち、海の上で30年お仕事をされ、海の絵を描き続けてきたステェプコさんにとって、海は日常、人生の一部なんだな・・・と、この貝殻を眺めながらしみじみと感じました。
ひかり輝く絵の中の世界
ステェプコさんの絵はどれも、とってもカラフルで神秘的。
主に海やお魚を題材としたさまざまな作品を描かれていますが、「ステェプコさんといえばこれ!」という、代表的なモチーフはこちら(↑)の船と海底に向かって広がるネットを描いた作品。
これは夜の海の中の様子で、ステェプコさんが実際にこの景色を海底でご覧になった時は、夜光虫がネットの周りで青く輝き、そこら中がキラキラ光っていたのだとか。
その光景を様々な色、ガラス絵具を含めた種類の絵の具、銀泊や金箔を用いてリネンのキャンバスに描かれています。
光の当たり具合や見る角度によって、色の濃淡や鮮やかさが変化し、キラキラ輝くステェプコさんの作品。
特に私はこの海と船、ネットをモチーフにしたこの作品が大好きで、ずっと眺めていても飽きることがなく、見れば見るほど惹き込まれるような美しさにいつも惚れ惚れしてしまいます。
ステェプコさんの作品にひと目ぼれする方は多く、実際、私がステェプコさんのアトリエにおじゃましていた際も、「作品が届くのをとても楽しみにしています!」と、ドブロブニクを発つ前にステェプコさんにご挨拶に来られた海外からの観光客のご夫婦のお姿を見かけました。(ステェプコさんの作品は日本を含め、世界中に発送してもらえます)
きらきら輝く、神秘的な海。
ゆらゆらと流れに身を任せて漂うネットと、その中や周囲を泳ぐ無数の魚たちを眺めながら「まるで私たち人間を体現しているようだと思いませんか」と語るステェプコさん。
世界の光と影を見据え、人間の本質を多様な視点から考察されるステェプコさんの哲学、世界観がぎゅっと詰まったような作品だと感じました。
また、こちらのカラフルなお魚(↑)はマトウダイをモチーフにしたものなのだとか。
「このお魚にはモデルがいるんですか?」とお伺いすると、「これはね・・・」と、マトウダイに関する様々なおもしろいエピソードもお聞かせくださいました。
(マトウダイの学名ゼウス・ファベル(Zeus faber)はギリシャ神話の最高神ゼウスとの逸話が由来になっていること、聖ペテロの逸話などをお話してくださいました)
その他にも様々なモチーフ、作風の作品がギャラリーに展示されています。
作者であるステェプコさんのお人柄も相まって、眺めているだけで心が穏やかになり、気持ちがパット明るく前向きになるような気がします。
ぜひギャラリーへ!
光により濃淡や輝きに変化が出るステェプコさんの作品は、写真で見る以上に実物はさらに素敵です。そのため、ご興味のある方はぜひともギャラリーに足をお運びになってください。
なお、ステェプコさんのギャラリーはほぼ1年を通して営業していますが、日によってはギャラリーがOPENするのが遅かったり、お休みの日もあります。
そのため、「ドブロブニクに行ったらぜひステェプコさんのギャラリーにおじゃましてみたい」という方(特にご購入を検討されている方)は、事前にメールなどで連絡をお取りになることを強くおすすめします。
なお「数週間前の予約ならメールでOKですが、例えば「明日訪ねたい」など急な場合はメールだと間に合わない場合もあるので、その際はWhatsAppなどで携帯電話番号にぜひご連絡ください」とのこと。
(いずれも英語でOKです。もし言葉に不安があり「自分では連絡が取るのはハードルが高い」という方は、お名前(ローマ字フルネーム)とご希望訪問日時をお知らせいただければ、(無償で)代わりにステェプコさんに連絡いたします(「お問い合わせ」ページよりご連絡ください)。その際も、余裕を持って少なくとも1週間前までにはご連絡いただけますと幸いです)
ステェプコさんのギャラリーで過ごす時間は、きっとドブロブニクの旅のとっておきの思い出となるはずです!
以上、みなさんの楽しいクロアチアの旅のヒントになれば幸いです。
最後にステェプコさんのギャラリー情報をまとめておきますね:
■STJEPKO ART
公式HP:https://www.stjepkomamic.com/gallery
住所:Ul. Celestina Medovića 2, 20000, Dubrovnik
営業時間:毎日10:00~21:00頃(※あくまでも目安です。日によっては臨時休業の場合や、短時間ギャラリーをCLOSEしていることもあるので、訪問を希望される方は事前にメールなどで確認されることをおすすめします)
メール:stjepkomamic@gmx.com
電話:+385(0)95-906-1703
※通年OPENしていますが、「ドブロブニク訪問時にぜひギャラリーを訪れてみたい!」と楽しみにされている方は事前にメールなどで連絡されることをおすすめします。
(2023年10月22日公開 小坂井真美)
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