隣国スロベニアの国境沿いに位置するイタリアの港町、トリエステ(Trieste)。
同じく北イタリアに位置する「ミラノ」や「フィレンツェ」など日本でも人気の街と比べると、あまり馴染みがないかもしれませんが、イタリアの他の町とは一風違った雰囲気を持つ素敵な町です。
クロアチアのザグレブやイストラ半島、スロベニアの各町からも、日帰りで気軽に訪れることができるトリエステ。ザグレブ在住の筆者も好きな町のひとつです。
(関連記事: 一風変わったイタリア!トリエステを訪れるべき7つの理由 )
ですが、日本人にはまだあまり広く知られていないそうで、筆者もはじめてトリエステを訪れた際は、(ガイドブックやネットなどでの)日本語のトリエステ観光情報の少なさにちょっぴり驚きました。
そこで今回は、トリエステを訪れたら訪れたい、おすすめの観光名所を6つお伝えします。
カナル・グランデ
「大運河」という意味のカナル・グランデ。
「カナル・グランデ」と言えば、ヴェネチアのものが有名ですが、トリエステにもこう呼ばれるスポットが存在します。
トリエステのカナル・グランデが今の姿になったのは1934年だそうですが、おおもとは1754年から1756年にかけて造られたものなのだとか。
トリエステのイメージ写真としてよく目にするカナル・グランデは、町を訪れたらぜひ訪れたい写真スポット。晴れた日には運河に青空が映り込み、とても美しいですよ!
■カナル・グランデ(Canal Grande di Trieste)
地図:
イタリア統一広場
町で一番大きな広場といえば「イタリア統一広場」。
イタリア語で「ピアッツァ・ウニタ・ディタリア(Piazza Unita d’Italia)」と呼ばれるため、「ウニタ広場」とも表記されることがあるこの広場。かつてムッソリーニが、大勢の民衆を前に演説を行った広場としても知られています。
広場には市庁舎や「ヴェルディ・オペラ劇場」 、人気の老舗カフェ「デッリ・スペッキ」などが面しています。
筆者もはじめてトリエステを訪れた時、あまりにもの広さに驚いたのですが、「海に面した広場」としてはヨーロッパ最大の広さを誇るのだとか。
お天気の良い日は、広場のカフェのテラス席に腰を掛けて、街行く人々の姿をのんびりと眺めてみるのも、おもしろいかもしれませんね。
■イタリア統一広場(Piazza Unita d’Italia)
住所: Piazza Unità d’Italia, 34121 Trieste
地図:
サン・ジュスト聖堂
トリエステを一望できる「サン・ジュストの丘」の上に建つサン・ジュスト聖堂。トリエステの街の守護聖人である聖ジュストに捧げられた聖堂で、街を見守るように佇んでいます。
もともとこの場所には、5世紀頃に建てられた小さなふたつの教会があったそうですが、14世紀頃にそれらをひとつにくっつけたものが、今日のサン・ジュスト聖堂のもとになったのだとか(その小さなふたつの教会の前には、古代ローマの神殿があったそうです)。
その後、長い歴史の中で増改築され、現在の姿になったそうです。
聖堂内には様々な時代に造られた美しいモザイクなどがあり、見所満載!一番古いものでは、5世紀のものだと言われる床のモザイクが現存しています。
■サン・ジュスト聖堂(Cattedrale di San Giusto)
住所:Piazza della Cattedrale, 2, 34121 Trieste
開館時間:
4月6日〜9月30日 7:30〜19:30
10月1日〜4月5日: 8:00〜12:00 / 15:30〜19:30
(※ミサ中等は見学不可)
地図:
サン・ジュスト城
「サン・ジュスト教会」の隣には、トリエステを一望できる絶景スポット「サン・ジュスト城」があります。
サン・ジュスト城はもともと15~17世紀頃に要塞として築城された建物だそうで、「お城」と言ってもヨーロッパの貴族が住んでいたような豪華な内装のものではありません。
ですが、さすが元要塞のお城!とっても見晴らしが良く、外壁からはトリエステの街並みはもちろん、アドリア海のずっと向こう側まで一望することができます。
こんなに素晴らしい絶景スポットにも関わらず、あまり広く知られていないのか、観光客があまりいないのが不思議。ですが、そのおかげで、美しい景色をゆったりとした気持ちで楽しむことができます。
城内には博物館も併設しており、中世の武器などがたくさん展示されています。
トリエステへお越しの際はどうぞお見逃しなく!
サン・ジュスト城内部の様子やアクセス方法について詳しくは「トリエステを一望する絶景ポイント「サン・ジュスト城」【行き方写真付き】」をご覧ください
■サン・ジュスト城(Castello di San Giusto)
住所:Piazza della Cattedrale 3, Trieste
開館時間:
(夏季 4月上旬~10月上旬頃)
火曜日~日曜日 10:00~19:00
※月曜日は閉館日
(冬季)
火曜日~日曜日 10:00~17:00
※月曜日は閉館日
入場料:3ユーロ
サン・ジュスト城公式HP(イタリア語):http://www.castellodisangiustotrieste.it/
※上記情報は2018年3月時点の情報です。最新情報はサン・ジュスト城公式HPをぜひご確認ください。
ボルサ広場
食いしん坊にはたまらないのが、ボルサ広場!
広場にはおいしそうな香りを漂わせるイタリア料理や、可愛らしいスイーツなどを売る屋台がずらりと並んでいます。
見て歩くだけでも楽しいですが、ぜひ食べ歩きを楽しんでみてくださいね!
また、ボルサ広場周辺にはファッション店をはじめ、たくさんのショップがあり、ショッピングを楽しみたい方にもおすすめのスポット!ぶらぶらと散策するだけでも楽しいですよ。
■ボルサ広場(Piazza della Borsa)
住所: Piazza della Borsa, 34100 Trieste
地図:
ミラマーレ城
トリエステ郊外、アドリア海を望む海岸線の断崖に建つ「ミラマーレ城(Castello di Miramare)」。
青いアドリア海と空に映える、白く美しいその様子から「白亜の城」とも称えられるミラマーレ城。ですが、このお城にはもうひとつ「悲劇の城」という悲しい別名があるそうです。
このお城は、19世紀半ばにオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の弟である、フェルディナント・マクシミリアン(マクシミリアーノ1世)が、愛する妻シャルロッテのために造らせたものだとか。
歴史好きの方には「メキシコ皇帝」として知られているマクシミリアンですが、メキシコ皇帝となったのは、ちょうどこのミラマーレ城の建設中だったのだそう。
まだ建設は終わっていなかったそうですが、1860年のクリスマス・イブから、メキシコに渡った1864年の春までの約3年程、シャルロッテと共にここで過ごしたそうです。
その後、不運な運命に翻弄され、35歳という若さでメキシコで銃殺(処刑)されたマクシミリアン。
愛する夫を失ったシャルロッテは、心が病んでしまうほど悲しみに暮れ、マクシミリアンが亡くなったという事実を決して認めようとしなかったのだとか。
そんなシャルロッテは、隠遁の場のひとつとして、マクシミリアンが建てたこのミラマーレ城で、その後の人生を過ごしたそうです。
ミラマーレ城が「悲劇の城」と呼ばれるのは、こんな悲しい逸話がまつわるため。
お城には、マクシミリアンがメキシコに渡ってからも、常に気にかけ情熱を注いだと言われる、広さ22ヘクタールの美しい庭園もあります。
志半ばで亡くなっていったマクシミリアンや、残されたシャルロッテのことを考えると、思わず悲しくなってしまいそうですが、ふたりに想いを馳せながら、短くてもきっとふたりの素敵な思い出が詰まっているであろうミラマーレ城を散策してみてくださいね。
なお、ミラマーレ城はトリエステ市内中心部から少し離れているため、バスやタクシーなどでアクセスする方法が一般的です。(ミラマーレ城への行き方はこちら(公式サイト・英語ページ)をご覧ください)
■ミラマーレ城(Castello di Miramare)
住所:Viale Miramare, 34151 Trieste
開館時間:
毎日9:00~19:00(※ただし、入場チケットの販売は18:30まで)
※11月~2月の毎日16:00以降、3月と10月の17:00以降はメインエントランス(Viale Miramare)からのみ入場可能。
定休日:
12月25日、1月1日
入場料:10ユーロ
ミラマーレ城公式HP: http://www.castello-miramare.it/
※上記情報は2018年3月時点の情報です。最新情報はミラマーレ城公式HPをぜひご確認ください。
地図:
ここでお伝えしたスポットのうち、一番最後にお伝えしたミラマーレ城以外は、すべて徒歩でアクセスできる位置関係にあります。
トリエステは見所がコンパクトにまとまった小さな町なので、たっぷり1日あれば、ここに挙げた観光名所6つをすべて制覇することができることでしょう。
海に面するトリエステでは、万が一道に迷っても、海が見える方向が目印になってくれます。そのため、方向感覚を掴むのが苦手な方も、きっと街歩きがしやすいはず。ぜひ心が赴くままに散策を楽しんでみてくださいね。
以上、みなさまの楽しい旅のヒントになれば幸いです。
(小坂井真美)
トリエステ旅行前に読みたい、おすすめの本
トリエステ旅行前に、須賀敦子さんのエッセイ「トリエステの坂道
本が好きな方のなかには「トリエステという町について知ったきっかけは『トリエステの坂道』だった」「『トリエステの坂道』に誘われて、トリエステへ旅に行った」という方もいるほど。
本が好きな筆者も、イタリアに興味がある方から「イタリアに行くなら、須賀敦子さんのエッセイを読むと面白いよ。特に、『トリエステの坂道』や『ヴェネツィアの宿』などがおすすめ」と教えていただき須賀さんの本と出逢いました。
「トリエステの坂道」は「読むと思わずトリエステへ行きたくなる」一冊。旅行前に読むと、よりトリエステの旅の感動が感慨深いものになるかもしれません。