数日前のスタッフ・ブログでもちらっとお伝えしましたが、先日、ザダル市観光局様にご招待いただき「マグロ 、寿司&ワイン祭(Tuna, Sushi & Wine Festival 2018)」におじゃましてきました。
「マグロ、寿司&ワイン祭」は2015年から毎年2月にクロアチアのザダル(Zadar)市で開催されているイベントで、今年は第4回目の開催でした。
ザダル市はもちろん、在クロアチア日本大使館やクロアチア商工会議所などの全面協力の元開催されるイベントで、2月2日に行われたガラ・ディナーには、様々な業種に携わる地元ザダルの方はもちろん、日本の水産商社関係の方やマスコミの方、そしてイベントを盛り上げるゲストとしてお越しになられた日本人氷彫刻師や歌手の方など、日本の方の姿も見えました。
ところで、みなさんは「ザダル」という町について、どれくらいご存知でしょうか?
日本のガイドブックではあまり詳しい観光情報が載っていないため、日本人観光客が見落としがちな町ですが、欧米からは大変熱い視線を集める人気の観光地。
2016年には「ヨーロピアン・ベスト・デスティネーション(European Best Destination 2016)」(「ヨーロッパで訪れたい町」をリストアップしたランキング)で1位を獲得した町としても注目を集めています。
また「世界一美しい夕日の町」としても知られているザダル。あのアルフレッド・ヒッチコック監督も感動したという美しい夕日を見ようと、夏になると大勢の旅人がこの町を訪れます。
(⇒ ザダルの夕日とヒッチコック監督のエピソードについて詳しくは【ミニコラム】サスペンス映画の神様も感動した「世界一美しい夕日の町」ザダルをご覧ください)
先に「日本のガイドブックではザダルの情報が少ない」と述べましたが、最近は少しずつではありますが、日本でもテレビやインターネットの情報を通して「夕日の町」として知名度が上がってきたザダル。
この記事を読んでくださっている方のなかにも「ザダルは夕日がきれいな町。“シーオルガン”や“太陽への挨拶”という有名なモニュメントもあるんでしょう?行ったことがあるよ」という方もいらっしゃると思います。
ですが、クロアチアではザダルが「まぐろの町」として大変有名であることをご存知の日本の方は、まだまだ少ないのではないでしょうか。
実はザダルは日本と縁が深い町。ザダル近郊の海には、まぐろの畜養場がいくつかあり、そこで育てられたまぐろのほとんどが日本に向けて出荷されているのです。
ところで「えっ?まぐろを育てるのって、すごく難しいんじゃなかった?日本の近大(近畿大学)が2002年にやっと養殖に成功したってニュースになったのを覚えているけれど・・・」という声を時折耳にしますが、ザダルのまぐろは「養殖まぐろ」ではなく、正確には「畜養まぐろ」と呼ばれています。
大阪の近畿大学が成功したとニュースになっていたのは、世界初のまぐろの“完全養殖”。
長年まぐろを卵から孵化させて、大きく育てるのは難しいとされてきたそうですが、長年まぐろ(クロマグロ)の生態を研究して、「絶対不可能」とまで言われていた養殖技術を完成させたそうです(本当にすごいです!)
一方、クロアチアで行われているのは「畜養」。「蓄え養う」と書くように、海を泳ぐまぐろの成魚を捕まえて、海中の生簀でエサを与えて大きく育てたまぐろなのです。
ところで、嬉しいことに今回のイベントでは、以前に当サイトの記事でご紹介させていただいた、ザダル近郊のワイナリー「ロイヤルワインロード」のオーナーのミレンコさんにも再会したのですが、ミレンコさんが次のような興味深いお話を聞かせてくださいました。
ロイヤルワインロード関連記事はこちら:
⇒ 【現地レポート&インタビュー】アドリア海を望む王様の葡萄畑『ロイヤルワインロード』
⇒ 【現地レポート】クロアチアワインと料理、伝統文化を堪能するなら『ロイヤルワインロード』
「太平洋、ハワイ近郊で生まれたマグロたちが、エサとなる魚を求めて、はるばるアドリア海(地中海)にやってきます。
マグロたちはアドリア海を含め、地中海をぐるっと周ったあと、通常はまた太平洋へ戻るのですが、こうしてクロアチア近郊の海にやってきたマグロたちを捕まえて生簀で育てているのです。
まぐろを卵から大きく育てる「養殖」は、技術面でもコスト面でも大変難しい。でも「畜養」なら、比較的簡単に行うことができるのです。
クロアチアの海では昔からまぐろが捕れましたが、クロアチアでは伝統的に、マグロのような赤身魚ではなく(すずきや鯛など)白身魚が好んで食べられていたんですよ。
そのため、長年クロアチアでは“安いお魚”という扱いを受けてきたマグロでしたが、近年、そのイメージは日本のみなさんによって変えられつつあります。
今、ザダル、クロアチアで畜養されているまぐろのほとんどは、日本に輸出されるためのものですが、近年の世界的な寿司ブームはもちろん、“マグロは日本では大変人気の高級魚らしい”という話を聞いた我々クロアチア人たちが、今マグロのおいしさに気づきつつあるのです。
今はまだ日本の方に向けた畜養を行う「まぐろの町」として有名なザダルですが、私は今後、”真の意味”でマグロがザダルの特産になってほしいと願っています。マグロが地元ザダルの人々に親しまれる食材として広く定着し、ザダルの名物料理としてマグロ料理が愛されるようになれば素敵ですね。
日本の人たちから教えてもらったマグロのおいしさ。日本風のまぐろのお刺身やお寿司もとてもおいしいですが、今後ザダルではクロアチア流のマグロの楽しみ方も発見してゆきたいですね。もちろん、地元ザダル産のおいしいワインと一緒に(マグロ料理を)楽しめたら最高です!」
日本との文化交流、ビジネス交流の意味もある「マグロ 、寿司&ワイン祭」ですが、ミレンコさんのお話のように「地元ザダルの人々にまぐろのおいしさを広く知ってもらい、まぐろを真のザダル名物にする」という想いも込められた、大変興味深いイベントでした。
なお、2月2日に開催されたガラ・ディナーでは、地元ザダルのレストランやザグレブの日本食レストランのシェフたちによって考案された、様々なまぐろ料理が振る舞われました。
「クロアチア人シェフのみなさんは、どんな風にまぐろを料理されるんだろう?」と、見ていてとても興味深かったです。
生のまぐろも目立ちましたが、日本のような「お刺身&醤油スタイル」ではなく、オリーブオイルなどをかけたカルパッチョ風のものやタルタル風のものが多く目につきました。
上の写真はまぐろのパテがのったバケット。
真ん中に刺さっているのは焼き鳥みたいに見えますが、食べてみたらまぐろの串焼きでした!
野菜やフルーツで作られた飾りも綺麗でした!
クロアチアではポピュラーな、まぐろのステーキも、もちろんありましたよ(↓)!
このように、様々な種類のまぐろ料理が勢ぞろいしていましたが、断トツで一番人気だったのはお寿司!
ザグレブにある日本食レストラン「TAKENOKO」の日本人シェフさんがまぐろの握りや鉄火巻きを振る舞われていらっしゃったのですが、TAKENOKOのブースの前は常にお寿司に興味津々のクロアチア人たちの長蛇の列ができていました。
会場にいたクロアチア人の方も「本当においしい!ザダルには日本食レストランがないから、今日、日本人シェフが握ってくれる本格的なお寿司が食べられて本当に幸せ!」と感激していました。
ちなみにガラ・ディナーでは、日本からお越しになった氷彫刻師・二橋 一幸さんの「フローラルアイス」パフォーマンスが行われたのですが、会場中のクロアチア人も目が釘付けになる素敵なステージでした!
(この記事の冒頭の写真も二橋さんの作品です。※二橋さんのお名前の一部は旧字体ですが、画面でうまく表示されないので新字体表記させていただきました)
実は、事前に「ガラ・ディナーではice Ikebanaのパフォーマンスがありますよ」だけと聞いていたので、「氷の生け花ってなんだろう?」と不思議に思っていたのですが、良い意味でまったく想像していないものだったので、パフォーマンスが始まると筆者も目が釘付けになってしまいました。
写真ではわかりにくいと思いますが、大きな透明の氷の中をドリルで削って、お花の形を作り上げてゆく見事なアート。
削りはじめてからほんの数分、あっという間に(上の写真内、上部スクリーンに映し出されているような)氷の中にお花が咲きました!
最後に、氷の中に色を流しいれると、美しい氷のお花が完成!会場中がわっと拍手に包まれました。
「こんなに繊細で美しいものを作れるなんて…!日本人の“技”にはいつも驚かされます」とクロアチア人も感嘆していました。
ザダル市観光局によると、また来年も行われる予定だという「マグロ 、寿司&ワイン祭」。クロアチアと日本がユニークでより深い絆を結ぶ素敵な機会だと思います。
筆者も今後、ザダルが日本で「世界一美しい夕日の町」としてのみならず「日本とゆかりがある、まぐろの町」として広く知られることを密かに願っています!
今回のザダル滞在中には「マグロ、寿司&ワイン祭」以外にも、ザダル近郊の素敵なワイナリーや絶景スポットも訪れてきました。
またその様子は近々、別途レポートさせていただきますね♪
(2018年2月5日 小坂井真美)
Special thanks to Zadar Touris Board
ザダル市観光局 公式サイト(英語)はこちら⇒ https://www.zadar.travel/en
「マグロ 、寿司&ワイン祭(Tuna, Sushi & Wine Festival )」の公式サイト(英語)はこちら⇒ https://sushifest.zadar.travel/en
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