かつてダルマチア地方の中心として栄えたザダル。町の起源は紀元前9世紀にまで遡ります。
地理的、経済的に重要な町として発展してきたザダルは、長い歴史 の中で幾度となく他国の攻撃を受けましたが、ローマ時代から中世、現代にわたるまで多くの歴史的建造物が残り見所溢れる町です。
美しい教会が町のあちらこちらにひしめくザダルで、特に有名なのが聖ストシャ大聖堂と聖ドナト教会。聖ストシャ大聖堂は、四重のアーチと美しいバラ窓が 印象的で、ザダルを訪れたら必見の建造物です。
町のシンボル、ドナト教会は、9世紀にプレロマネスク様式で建てられた円形の独特な形をした教会。優れた音響効果をもつこの教会では、毎年夏にルネサンス音楽のインターナショナルフェスティバルが開催されます。
世界一美しい夕日の町
この小さな港町がたくさんの人の心を惹きつける最大の秘密。それは、美しい夕日。ザダルを有名にしたのが、ヒッチコック監督の言葉でした。
「ザダルの夕日は世界で最も美しい。フロリダのキーウェストの夕日よりも・・・」
休暇を過ごしていた“ホテル・ザダル”の204号室から目にした夕日に感激したヒッチコック監督は、その美しい風景をカメラに収めようと熱心にシャッターを切ったのだとか。(※現在ホテル・ザダルは閉館)
ヒッチコック監督がザダルを訪れたのは1964年5月ですが、それ以降この町は「夕日の町」として、ザダルには夕日を見ようと世界中から旅人が訪れます。
夕暮れ時になると、町の海岸にはたくさんの人が集まってきます。
真っ青に輝いていた空とアドリア海を、真っ赤に染めながら沈んでゆく太陽。 怖いくらい美しい、心にせまる迫力あるその光景に、ヒッチコック監督は作品へのインスピレーションを得たのかもしれませんね。
また、ザダルは海の波と風が奏でる「シーオルガン(Sea organ)」がある町としても有名です。シーオルガンの音色に耳を傾け、世界一美しい夕日を眺めてみませんか。
(小坂井真美)
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